2022年02月25日
NVMe-oF™でビジネスを牽引する

NVMe-oFの真価はパフォーマンスより柔軟性にあり

従来のITインフラは、セキュリティと管理の要件に基づいて確立されたアーキテクチャを最大限に活用することは優れています。しかし、急速に変化する環境への対応については、必ずしもそうとは言えません。今日、ビジネスの世界は絶え間ない変化の波に洗われており、柔軟性と俊敏性を手に入れるために多くのビジネスデータがクラウドに移行されています。しかし、すべての作業がパブリッククラウドに適しているわけではありません。それでは、今日のデータセンターは、どうすれば急速に進化するビジネスニーズに対応し続けることができるのでしょうか?

大きな変化 - ネットワークからファブリックへ

データセンターのストレージ・インフラに大きな変化があったのは、約20年前にファイバーチャネルのストレージエリアネットワーク(SAN)が登場した時までさかのぼります。これにより、実環境においてストレージをプールしてさまざまなサーバー間で共有できるようになりました。また、管理を統合することで運用の効率化も進みました。しかし、クラウドの世界では、もっと素晴らしいことができるはずです。

ここで新たなテクノロジーとして登場したのがNVMe™ over fabrics(NVMe-oF™)です。NVMe SSDは、高性能なプロセッサのアーキテクチャと同様に、フラッシュの並列で低レイテンシーのデータパスを活用するように設計されているため、高速なNANDストレージを利用するには最適な技術です。既存のPCIeストレージ用ソケットに差し込むことができるため、非常に簡単に実装できサーバー内部で絶大なパフォーマンスを発揮します。

このメリットをサーバーの外に持ち出して、直接接続型ストレージと同等の速度でストレージ共有を可能にするのがNVMe-oFの領域です。NVMe-oFをリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)と組み合わせると、さらに特別な機能が得られます。ソフトウェアがますますボトルネックになる中、RDMA を使用すれば、ソフトウェアのレイヤーをいくつかスキップして、パフォーマンスと卓越した接続性をさらに向上させることができます。この比類のない接続性こそが次世代データファブリックのディスアグリゲーションとコンポーザビリティを実現するうえで鍵となる技術です。

パフォーマンスを柔軟性へと拡張

NVMeは、ファイバーチャネル、InfiniBand、Ethernetなどの物理インフラ上を行き交うプロトコルです。これらのネットワークインフラには、それぞれが独自に提供している価値があります。Ethernetはもちろんコストとインストールの面で大きな優位性があり、世界中のほぼすべての企業で使用されています。さらに、EthernetのことはITスタッフがすでに熟知しており、ほとんどのデータセンターで稼働しているという実績があります。また、従来のネットワークサブネットからストレージファブリックを分離できるため、データのパフォーマンスとセキュリティを最大限に高めることができます。

NVMe-oFとRDMAは、既存のEthernetインフラを活用し、それを刷新することで、高性能なインフラだけでなく、コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャの基盤となる次世代データファブリックを提供することができます。これによりクラウドのメリットが企業にもたらされ、ビジネスを新たな機会に向けて転換するのに必要な俊敏性がもたらされます。NVMe-oFによって直接的に得られる成果はパフォーマンスの向上ですが、多くのケースでその柔軟性がより大きなビジネス上の優位性をもたらします。そしてITが企業に変化を誘発する存在になるのです。

エコシステムが不可欠

最近、私はG2M Researchが主催するウェビナーに参加して、NVMe-oFに関する見解をさまざまな企業と共有しました。NVMe-oFを活用するために導入を成功させるためには、どのようなステップが必要なのかを皆で議論しました。すべてのNVMe-oFソリューションが、この技術の性能と可能性を引き出しているわけではありません。

ウエスタンデジタルのアプローチを際立たせているものの1つに、当社の提供するOpenFlex™のオープン性があります。データインフラの効率は、多くのソフトウェアとハードウェアのコンポーネントと、それらが相互に動作する方法に依存しています。オープンスタンダードを実装することで、多数のベンダーと協力して相互運用性のあるエコシステムを構築することができます。それにより、技術革新を促進し、選択の自由度を高め、ファブリック接続デバイス間の容易な連携が可能になります。

ウエスタンデジタルのOpenFlexには、プログラミングのためのオープンAPIと、ハードウェアの相互運用に向けた物理的な公開仕様の2つの側面があります。このアーキテクチャは、SSDだけでなく、例えばHDD、テープ、FPGA、GPUなどを含むデバイスにも対応しています。私たちは、広範なエコシステムと緊密に連携し、サードパーティにも参加を呼びかけ、当社のOpen Composable Compatibility Labで相互運用性のテストと検証を実施しています。

NVMe-oFの計画を策定する

ビジネスはデータ駆動型へと移行が進み、データセンターは劇的な変貌を遂げています。スピードとパフォーマンスは、より良い意思決定を迅速に行うのに役立ち、柔軟性はそのインサイトに基づいて行動することを可能にします。
NVMe-oFは驚異的なパフォーマンスを提供します(昨年、当社は共有アクセラレーションストレージ用の最速のNVMe-oF™オープンコンポーザブルプラットフォームを発表しました)。また、さまざまなリソースを組み合わせて使用できるため、ビジネスニーズに合わせて環境を調整し、ニーズの変化に応じて稼働中の再構築を可能とします。NVMe-oFは、パフォーマンスだけでなく、ITがビジネスを牽引するためのまったく新たな柔軟性を提供する技術でもあるのです。

私たちは、コンポーザブルインフラストラクチャのためのオープンな環境に取り組んでいます。

※OpenFlex™コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャの詳細については、こちらをご覧ください。

著者: Erik Ottem
※Western Digital BLOG 記事(MAY 22, 2020)を翻訳して掲載しています。原文はこちらから。

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