2022年01月14日
危険と隣り合わせ、エッジを生きる

新しいストレージソリューションによりデータセンターをリモートエッジに

信号機から宇宙ステーションに至るまで、IoT、5G、クラウドによってエッジ・コンピューティングが加速しています。大量のコンピューティングとストレージがデータセンターを離れ、データを取得し、生成する場所により近いところで展開されるようになっています。

IT分野を中心に調査や助言を行うガートナーの報告によると、企業が生成するデータのうち、従来の集約型データセンターやクラウド以外で作成・処理されているものは、現在のところ10%未満ですが、2025年には75%に達すると見込まれています。

コンピューティングやネットワークのエッジでは、回線速度が遅かったり、途切れたり、コストがかかったり、そもそもネットワーク自体が無かったりします。エッジは、海の真ん中、砂漠での軍事作戦、さらには宇宙でのミッションなど、さまざまな場所に存在する可能性がありますが、このようなリモート環境では、新しいインテリジェント・エッジ・コンピューティング・アーキテクチャにより、データセンターを現場に持ち込み、レイテンシー、コスト、そして場合によっては接続性のハードルさえも取り除くことができます。

このような過酷な環境下で、リモートエッジにあるストレージデバイスが生き残り、成長していくためには何が必要なのでしょうか。

エッジは何が違うのか

従来のデータセンターでは、ITリソース、スタッフ、スペースを慎重に手配し、電源や冷却などを厳重に管理していました。対してエッジでは、接続性や環境、セキュリティなどの要素が加わります。

ウエスタンデジタルのプラットフォーム製品管理兼マーケティング担当シニアディレクター、スコット・ハミルトン(Scott Hamilton)は次のように述べています。「エッジサーバーは、従来のデータセンターにはないモビリティ、アナリティクス、そしてハイパフォーマンスなコンピューティングを提供します。これは、データとその処理作業、そしてユーザー (人、モノを問わず) を近づけて、リアルタイムの意思決定と価値を提供することです」。

データセンターでもリモートエッジでも、ユーザーは同じ体験を期待しています。

ウエスタンデジタルのデータセンター・インフラストラクチャ・マーケティング担当、スティーブ・ウィルキンス(Steve Wilkins)は次のように述べています。「リモートエッジにおける最大の違いは、接続性と、データセンターまでの距離です。海上や通信網の無い砂漠で、接続が遅かったり不安定であっても、現場ではリアルタイムの分析が必要とされています」。

スピードの必要性

エッジでデータを取得する際に、データをクラウドに送り返すのに非常に時間がかかったり、コストがかさむ場合があります。

ハミルトンは「商業の領域においては、地震、産業、通信、海洋石油掘削などの分野で、収集データが大量にあります。場合によっては、通信外の場所から膨大な量のリッチデータを転送するよりも、物理的にヘリコプターでデータを運ぶ方が速いのです」と述べています。

しかし、ヘリコプターでの配送が常に可能とは限りません。また、膨大な量のデータをデータセンターに送信すると、リモートネットワークに負担がかかります。さらに、データセンターからの応答を待っている余裕がないケースもあります。

「データをローカルで処理し、その結果だけを中央のデータセンターに転送することで、ネットワークトラフィックを大幅に削減することができます」とウィルキンスは語ります。これは、海上での探査や、山の上に設置された望遠鏡など、場合によっては衛星回線でしか接続できず、接続が不安定な場合に最適です。

エッジサーバーは、リモートエッジでの処理を可能にし、クラウドや企業のデータセンターにデータを送り返す必要性 (とその結果として生じるレイテンシー) を排除します。

過酷な環境下でも安全で安定したデータを提供

距離に加えて、過酷な環境に設置されたエッジデバイスやユーザーは、整備され予測可能な環境にあるデータセンターとは異なり、さまざまな環境要素に直面します。

「そこがどんな環境で、そこにデバイスがどうやって到達するのかが重要です。砂漠での軍事作戦用にエッジサーバーを空から落とす場合でも、海での遠隔探査サイトに設置する場合でも、水、埃、破片に対する侵入防止機能があれば、機器がダメージを受けることはありません」(ウィルキンス)。

データセンター以外の場所では、車や飛行機で運ぶ際の衝撃や振動にどのくらい耐えられるかも重要です。また、高度による気圧差もデバイスに影響を与えます。

「戦場や犯罪現場など、非常に機密性の高いデータがあるケースでは、エッジデバイスは、暗号モジュールと不正開封防止機能を備えた軍事セキュリティ規格を満たす必要があります」とハミルトンは述べています。

ウエスタンデジタルは、これらの厳しい軍事規格に対応するために、Ultrastar® Edgeサーバーの堅牢なMIL規格版であるUltrastar® Edge-MR(※1)を開発しました。

データの改ざんなどからの保護に加えて、自然または悪意ある外部からの電磁干渉 (EMI) 事象からの保護も重要です。また、検知の可能性を低くするために、内部のEMIスクリーニングも重要です。

エッジサーバーによるエッジ処理

「私たちは、どこにいても、瞬時にデータを得ることへの飽くなき欲求を持っています」とハミルトンは述べています。「ジャングルにいても海にいても、今日のユーザーは、本社のデスクにいるのと同じアプリケーションを、同じストレージ量、同じ処理能力で実行したいと思っているのです」。

このような貪欲なニーズが、この業界の驚異的な成長に拍車をかけるかもしれません。調査会社オムディア社は、エッジ環境でのサーバーの需要が2024年までに倍増し、合計500万台近くになると予想しており、より多くの計算能力が必要とされているとしています。

エッジでのデータ作成需要の増加と、そのデータから価値を引き出す機会の増加により、人とテクノロジーがかつてないほどに結びついています。企業は、クラウドの可能性を遠隔地にまで広げ、拡大しています。世界中で何十億ものモノが接続されている中、エッジサーバーは、中核に位置するデータセンター (パブリック、プライベート、またはその両方) と、エッジにいる多様な人々、さまざまに接続されたモノ、ワークロードとの間でデータを処理し、変換するための重要な役割を担っています。

エッジはより鋭く、そして最先端に。

※1…Ultrastar® Edge-MR 製品の詳細はこちら(日本未発売)

著者: Anne Herreria

※Western Digital BLOG 記事(JUNE 15, 2021)を翻訳して掲載しています。原文はこちら

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