2021年04月16日
リモート生活がコネクト技術の進化をどのように加速させたのか

今日、人やモノをオンラインでつなぐIoTやソフトウェアなどの環境システムを総称した「コネクト技術」は、新型コロナウィルスによる危機的な状況下において、重要な役割を果たしてきました。 突然、オンライン授業や在宅勤務が実施されることになり、世帯ごとのオンライン活動が急増し、データの需要は新たな局面へと向かっています。環境の変化に対応して、新しい技術が生まれたり、既存の技術革新が加速しました。このような変化のうち、いくつかは、今回のパンデミック以降も続き、特定の技術やユースケースの進化の後押しになるでしょう。
シチュエーション別に、詳しく見てみましょう。

分散化されたグローバルワークフォース

世界中で、在宅勤務する人の数は短期間で急増しました。新型コロナウィルスの影響で米国では社会人の56%(※1)が在宅勤務可能な仕事をしています。 各企業の IT担当部署は従業員が会社の重要なエンタープライズ・アプリケーションにアクセス出来るように、仮想のワークステーションを導入しています。在宅勤務者はDevOpsオートメーション(※2)やプロジェクト管理などにおいて、バリアフリーで円滑なオンライン上でのやり取りのため、ビデオ会議やチームビルドツールを活用しています。

※1 引用: https://globalworkplaceanalytics.com/work-at-home-after-covid-19-our-forecast
※2 DevOpsオートメーション:DevOpsはソフトウェア開発手法の一つで、開発担当者と運用担当者が連携して協力する開発手法

このようなリモートワークのトレンドは、比較的大規模なB to B (エンタープライズ) ビジネスにおけるクラウドデータセンターの需要増加につながっており、データストレージ容量の拡張、クラウドコンピューティングの推進、およびフラッシュストレージリソースの分散共有などには、NVMe-oFプラットフォームが適しています。

ビデオ会議の未来においては、AIも重要なテクノロジーの一つです。AIを使えば、ユーザーエクスペリエンスやチームミーティングの効率性はあがります。AI搭載のビデオ会議では、参加者全員の都合が良い時間を特定したり、会議中のノイズをカットしたり、常に会議の内容を自動で書き起こしたり、to do リストやメモを共有することが出来るようになります。さらに、雑事はAIが処理するので、チームは議題に集中する事が出来ます。長期的には、VRヘッドセットのようなツールが発達し、臨場感のある会議が体験出来るようになるかもしれません。

未来の学校、「リモート・ラーニング」

教育機関も大きな影響を受けています。世界中の学校や大学では、教師と生徒の安全を守るためにバーチャル教育が取り入れられるようになりました。ここ数年で開発されたオンライン学習管理システムやビデオ会議などのサポート技術が役立っています。

パンデミックの間、教育はリモート・ラーニングへと移行しました。教育関係の非営利団体やテクノロジー企業が公立の学校と提携し、教師が生徒とオンラインで繋がり、勉強を教えることができるリソースやツール、トレーニングを提供しています。仮想デスクトップを使って、生産性の高いソフトウェアやアプリケーションにアクセスする生徒が増えています。さらに、学習課題や文書、プロジェクトをバックアップするために、内蔵のHDDやSSD、デスクトップ・ドライブなど、ユーザーのパーソナルなデータストレージが必須となっています。

今後、遠隔教育は拡張現実(AR)や仮想現実(VR)によって、臨場感のある学習を体験出来るようになるかもしれません。そしてオンライン学習は教室教育の未来のスタンダードになるポテンシャルがあります。学校はIT部門と協業し、生徒のために家に持ち帰れるノートPC、通信機器、デスクトップ・データ・ストレージ・ソリューションなどを含めた「テック・キット」を用意するようになるかもしれません。

自動化とスマート・ロボットを推奨するサプライチェーン

効率、制御、精度、安全性を高めるため、プロセスの合理化を考えなければならないビジネスにとって、自動化は最重要課題でした。新型コロナにより、自動化が必要なケースが明確になり、普及の新たなきっかけとなりました。グローバル・サプライチェーンに支障があれば、自立型テクノロジーが負担を軽減します。ソーシャルディスタンスが必要な危険な業務であれば、ロボットが代行します。

組み込み型や取り外し可能なフラッシュ・ドライブを活用することにより、自動化されたロボットを使ったスマートファクトリーが実現しています。デンマークでは、画像認識、ディープラーニング、ビジュアルシミュレーションの技術を活用して、国内最大の食肉加工工場が生産ラインの反復作業にロボットが採用されています。中国の病院でも、ロボットが緊急の電話に対応しています。3Dカメラを搭載したロボットは物資の運搬や自律的に消毒を行うことが出来ます。これは第一線にいる医療従事者を守り、感染を抑えるための重要なステップです。

パンデミックにより、人との接触がある配達(ラストマイルデリバリー)を効率的に非接触で行うため、歩道用ロボット、ドローン、自動運転車などに意外な需要が生まれました。実際、最大手のEコマース企業は自動運転車の開発を促進させるために最近、自動運転車のスタートアップ企業を買収しました。世界最大の検索エンジンで知られる企業は、2019年10月からドローンによる配達実験を行っており、対象商品を焼き菓子から、コーヒー、トイレットペーパー、薬、歯磨き粉にまで広げています。

自宅のソファから、バーチャルイベントやオンラインゲームに参加

新型コロナにより多くの公共イベントが延期や中止を余儀なくされ、イベント主催者はオーディエンスとの繋がりや関心を維持するため、完全バーチャル化か、対面とオンラインのハイブリット化へ、戦略の見直しを迫られています。同時に、動画配信プラットフォームを通じた需要が伸びており、オンライントレードショーが多くみられるようになっています。

屋内待機命令により、家での娯楽の選択肢も変わりました。屋内で過ごす時間が長い人ほど動画配信サービスの利用率が高く、既存のプラットフォームを使えば、家でパジャマのままルーブル美術館に行ったり、ゾンビから世界を救ったり、スペインでロッククライミングすることもできます。オンラインゲームやeスポーツの人気は高まり続けており、NVMe™ SSDを搭載した高性能のPCゲーム機器が可能性を広げています。

今後は、拡張現実や仮想現実によって新世代の遠隔視聴が可能になるかもしれません。オーディエンスは拡張現実や仮想現実を使い、好きなイベント、ゲーム、映画やショーに没頭することが出来るかもしれません。エッジ処理の進歩により、一連のテクノロジーで次世代の遠隔視聴が可能になれば、スポーツやアーティストのパフォーマンスを多くのオーディエンスに届けることが出来るようになり、新たな収益の可能性も広がります。更に、世界中のゲーマーがオンラインに進出することが予想されており、2023年までに、世界の27億人のゲーマーが2,000憶ドル以上をゲーム、特にモバイルゲームやウェアラブルゲーム機器に費やすと予想されています。

近い将来、たくさんのコネクト技術のイノベーションが登場

私たちが現在の危機と向き合う中で、確かなことが一つあります、それは私たちの世界はもう昔と同じようには戻らないという事です。教育、エンターテインメント、ロボット、ビジネスで採用されている技術は進化を加速させるものでもあり、また、新しい考え方の基礎となるものでもあるのです。

著者:Yaniv Iarovici Yaniv Iarovici
※Western Digital BLOG 記事(JULY 20, 2020)を翻訳して掲載しています。原文はこちらから。

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